登録有形文化財(建造物)の紹介

登録有形文化財 赤磐市吉井郷土資料館(旧仁堀尋常高等小学校本館)

概要

資料館

外観

年代:建築1927(昭和2)年/移築1984(昭和59)年

設計:市川雅彦

登録:平成19(2007)年5月15日

所在:赤磐市周匝(移築前:赤磐市仁堀中)

吉井郷土資料館の建物は、1927(昭和2)年に仁堀尋常高等小学校の本館として建てられました。昭和初期の新しい小学校建築の先駆けといえる美しい建物で、1981(昭和56)年の閉校まで児童の学び舎として愛されました。規模を縮小して移築復元した1984(昭和59)年からは郷土資料館として憩いと学びの場として活用されています。

校舎は木造2階建て、その外観は下見板張りとドイツ壁で丁寧に仕上げられています。正面中央の懸魚の付いたギャンブレル屋根と玄関ポーチ、両端部に独特なデザインの通用口を設けるといったスティックスタイルの建物です。

往時は生徒たちがぬか袋で磨き上げていた廊下、細部に施された意匠など、建物の特徴を凝縮して復元されたこの建物は、2007(平成19)年に登録有形文化財に登録されました。

建物の特徴

建築当初の建物

仁堀小学校時代の校舎の外観

仁堀小学校時代の校舎の外観

建築当初の建物
位置 赤磐市仁堀中
規模

木造2階建て

全長45.5m

奥行9.1m

高さ11.6m

延床面積856平米

8教室

備考 正面から見ると左右非対称の外観

 

移築後の建物

現在の建物外観

現在の建物外観

移築後の建物
位置 赤磐市周匝
規模

木造2階建て

全長22m

奥行9.1m

高さ11.6m

延床面積424平米

約半分に縮小

備考 建物の特徴的な部分を凝縮して移築

屋根

寄棟造り、鉄板葺で、中央にギャンブレル屋根が付く。細部には和風の装飾が付く。

また、天井裏の小屋組をのぞくことができるよう、2階天井の一部はガラス張りになっている。

吉井郷土資料館屋根1

懸魚の付くギャンブレル屋根

吉井郷土資料館屋根2

棟飾り

吉井郷土資料館小屋組

屋根裏が見えるガラス張りの天井

外観

ドイツ壁の律動的な面と南京下見板張や縦羽目板張の木部の直線的な構造の調和が美しい。

吉井郷土資料館外観1

下見板張とドイツ壁

吉井郷土資料館外観2

南京下見板張と縦羽目板張

吉井郷土資料館外観3

ドイツ壁

玄関・通用口

ドイツ式下見板張の柱が付く玄関と持送りの柱で屋根を支える通用口。屋根の下に付く蛇腹幕板、柱の装飾など、細部まで装飾が施されている。

通用口1

持送りの柱のある通用口

玄関

玄関

通用口2

幾何学的な装飾の通用口

教室

フローリングの教室のほか、本建物の特徴でもある床の間の付く畳55帖敷きの和風教室がある。天井には凝った飾りが付いている。

内部1

黒板のある教室

内部2

天井中央飾り

内部3

床の間のある作法室・裁縫室

廊下・階段

長い板張りの廊下は、規模が縮小したことを補うため、壁に原寸大に引き伸ばした廊下の写真が貼られている。

階段は子どもたちのために1段の高さが低い。手すりの親柱の装飾も美しい。

廊下

長い板張りの廊下

廊下2

段の低い階段

階段2

階段の親柱

学校生活

教師が一枚ずつ「仁」の文字を書いたガラス、天井に残る方位の標識、中央に線の引かれた跡の残る階段、ぬか袋で生徒たちが磨いた廊下。建物の色々な場所で当時の学校生活を垣間見ることができる。

ガラスの文字

「仁」の文字が書かれたガラス

方位の標識

方位の標識

生徒用のいすのある教室

生徒用のいすのある教室

沿革

学校の沿革

学校の沿革
年号 元号 できごと
1869 明治2 校舎を設け、有志者を募り教育する(仁堀地区に2か所あり)
1972 明治5 学制発布
私学校・寺子屋など廃止、各村に学校が開かれる
1975 明治8 校舎新築
第23番学区仁堀小学となる
1979 明治12 学制廃止、教育令が公布
小学から小学校へ名称変更
1886 明治19 教育令廃止、小学校令が公布
簡易仁堀小学校となる
1892 明治25 仁堀尋常小学校と改称
1896 明治29 校舎を新築し移転
1910 明治43 高等科を併設し、仁堀尋常高等小学校と改称
校舎改築を村会で決議
岡山県技師市川雅彦に設計を委託
新築校舎請負入札実施
戸川熊次郎が金16,500円で落札
1927 昭和2 新校舎の落成式
1941 昭和16 国民学校令公布
仁堀国民学校と改称
1947 昭和22 教育基本法公布
仁堀小学校と改称(高等科廃止)
1949 昭和24 南校舎2階の教室を講堂に改装
1955 昭和30 台風15号被害により屋根葺き替え
1970 昭和45 屋根葺き替え
1976 昭和51 玄関改造、校長室、工作室を設置
1981 昭和56 仁堀小学校閉校式
布都美小学校と統合、仁美小学校となる

 ※太字は登録有形文化財の校舎のできごと

開校から資料館へ

閉校から資料館へ
年号 元号 できごと
1984 昭和59 校舎解体
規模を縮小し現在地へ移築
吉井町郷土資料館開館
1999 平成11 外壁塗装
2005 平成17 赤磐市吉井郷土資料館へ改称
2007 平成19 登録有形文化財に登録
2009 平成21 外壁塗装

更新日:2019年05月15日