地域全体が遊び場!山と小川に囲まれた子育て【ラテルさんご夫婦】
フランス出身のエミリアンさんと福岡県出身の沙織さんは、都会での暮らしを経て、現在は沙織さんの祖父母の家を改修し、二人のお子さんとともに暮らしています。
フランスと日本、二つの文化を大切にしながら、自然に囲まれて暮らす日々のことや、赤磐市へ移住した経緯についてお話を伺いました。


思い出の地で叶えた、自然豊かな子育て暮らし
子どもの頃の思い出の地で
ラテルさんご家族が住んでいるのは赤磐市の北部。近くの小川には夏になると蛍が舞い、田んぼや山を駆け回っても遊びつくせないほど自然に恵まれた地域です。沙織さんは子どもの頃から、お母さまの帰省に合わせて年に2回ほど赤磐にある祖父母の家を訪れていました。当時の沙織さんにとって、「全部が公園」で、山で草滑りをしたり、秘密基地を作ったりと、自然の中で思いきり遊べる特別な場所だったそうです。
大自然が遊び場
お子さんたちは山や川で泥んこになって遊ぶのはもちろん、夕方には仕事から帰ったお父さんと一緒に畑へ行き、野菜の収穫を手伝うこともあります。
一緒に収穫した野菜をその日の食卓で味わう。そんな日々の暮らしの中での経験が、子どもたちの食への関心や感謝の気持ちを育み、自然と食育にもつながっています。
「都会に比べて空気が綺麗で、動物や虫の声が聞こえるとても自然が豊かな場所。でも車で30分圏内に生活に必要なものはひととおり揃います。ここはちょうど良い田舎です」と沙織さん。
子育て環境について
現在お子さんは5歳と2歳で、保育園に通っています。昨年新しくなった園舎は快適で、園児数も多すぎないため、一人ひとりに目が行き届くゆったりとした環境の中で毎日を過ごしているそうです。
また、保育園に入る前は子育て支援センターをよく利用していました。毎月の身体測定に通うほか、おもちゃも充実しており、落ち着いた雰囲気の中で親子の時間を過ごすことができたといいます。支援員の先生が親身に話を聞いてくれたことも心強く、沙織さんにとって子育て中のほっとひと息つける大切な場所になっていました。
こちらの地域では、小学校へ進学するとスクールバスが自宅近くまで迎えに来てくれるため、保護者にとっても安心できる環境だそうです。
虫の声が聞こえる静かな環境
夏は子どもと川遊びができる
移住の経緯
フランスで出会い、赤磐へ
沙織さんは、毎年異文化に触れるために海外を訪れていました。その旅先の一つだったフランスで、エミリアンさんと出会いました。
エミリアンさんは農業を大学で学んだ後、日本語と経営を学ぶために進学。学生時代のインターンシップを通じて岡山県で暮らした経験があります。結婚後は一度埼玉県で暮らしていましたが、「関東にいるよりも岡山の方が農業ができるのでは」とインターン時代にお世話になった専務に勧められ、自身の専門知識や経験を生かせる環境を求めて岡山市へ移住しました。
また、沙織さんの祖父母が大切に守ってきた赤磐市北部の家を引き継ぐ人がいなかったことや、自然豊かな環境で農業に携われることもあり、ご家族は祖父母の家で暮らすことを決めました。

言葉の壁を超えるためのひと工夫
就職活動と家族のサポート
エミリアンさんは岡山での仕事探しを、インターネットの求人サイトや、ハローワークを活用しながら進めたそうです。
日本での就職活動は、言葉だけでなく履歴書の書き方や面接など、日本特有の慣習に戸惑う場面も少なくありません。
「一人で進めるには難しい部分も多く、家族や周囲の支えが必要だと感じました」と沙織さん。
就職活動中は、沙織さんが書類作成を手伝ったり、一緒に説明を聞きに行ったりしながらサポートしたそうです。
現在、エミリアンさんは農業関係の仕事に就き、海外スタイルのハウスを活用した栽培技術の研究に取り組んでいます。岡山への移住を決めたきっかけでもあった農業の分野で、これまでに培った知識や経験を生かしながら働いています。
地域とのつながりづくり
外国出身の家族とともに地域で暮らす中で大切なのは、「どんな人なのか」を自分から伝えることだと沙織さんは話します。
ご主人はある程度の日本語力を持っていましたが、周囲からは「日本語が話せないのでは」と思われることもあったそうです。そのため、「日常会話ならできます」「英語なら話せます」といったことをあらかじめ伝えるようにしていました。
また、地域の方に家族のことを知ってもらおうと、沙織さんは名前や家族構成、生い立ちなどをまとめた自己紹介シートを作成し、近所へ配布。そうした工夫が会話のきっかけとなり、少しずつ地域とのつながりを深めていったそうです。
祖父母の家の障子戸を活かした、受け継ぐ住まいづくり
ペンキ塗りは自分たちで

青を基調とした、フランスの雰囲気を感じる空間
赤磐市から広がるフランスの暮らし
家のすぐ近くにある畑では、アーティチョークや根セロリ、キヌアといった珍しい作物のほか、ラテル家でよく使うじゃがいもや小麦も栽培しています。
「小麦を粉にするのはとても大変でした」と笑う沙織さん。
エミリアンさんがリエット(豚肉のペースト)や生ハムなどのシャルキュトリー(加工肉)を手作りすることもあり、家庭ではフランスの食文化が身近な存在となっています。
フランス料理というと高級なイメージがありますが、沙織さんが届けたいのは、フランスで親しまれている家庭の味。気軽に楽しめるお惣菜やお菓子を通して、フランスの食文化をもっと身近に感じてもらいたいと考えています。
現在、沙織さんはフランスのお惣菜やお菓子を販売する事業を準備中です。来春完成予定の専用キッチンを拠点に、移動販売や委託販売を中心に活動していく予定だそうです。
自然豊かな赤磐市での暮らしを楽しみながら、自分たちらしい形でフランスの食文化を伝えようとしているラテルさんご一家。これからどのように広がっていくのか、楽しみです。
実りの季節を迎えた小麦畑
取材年月:2026年5月
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更新日:2026年06月25日