移住者インタビュー 上田 敏之さん
震災をきっかけに、家族の将来を第一に考え、自然豊かな赤磐市の里山で創作活動
プロフィール
移住の時期:2017年3月
出身地:埼玉県日高市
現住所:赤磐市中勢実
職 業:木工作家・家具と額「キノワ」代表
家族:5人と犬1匹と猫1匹
移住の経緯
・首都圏出身のご夫妻が、何故赤磐市に移住されたのですか?
上田さん:東京造形大学卒業後、東京にある輸入古材を扱った家具屋で8年間製造に携わっていましたが、2011年3月の東日本大震災を経験して以来、家族の将来に不安を感じるようになり、妻が次女を妊娠したのを契機に移住を決断しました。震災前より時々訪れていた兵庫県の友人の勧めもあり、中国地方で移住先を探すなか、2013年に一旦は岡山県内にある町の賃貸住宅に転居し、住んでおりましたが、2016年に縁あって現在住んでいる古民家に出会い、購入することができ、2017年春に長女の小学校進学と同時に入居しました。
※何よりも、まず奥様と子どもさんが気に入って、この家に決められた。
仕事のこと
・作品のコンセプトについて聞かせてください。
上田さん:一旦は役目を終えた古民家や、古道具。無垢の木でできたその表情からは、当時の人々の生活、環境、作り上げた職人の知恵など、様々な思いを感じることができます。決してすぐに作り出すことができない長い時間が作った表情。木が育った時間、材木となって人の生活を支えた時間。その時間を感じつつ新たにゆっくりとした時間を刻むものを作りたいと思っています。現在は自分で集めてきた古材、廃材それぞれの表情を活かした額縁・家具を中心に製作を行っています。
※解体された古民家の長押(なげし)を素材にして額縁を製作中
・仕事は順調ですか?
上田さん:昨年独立し、「キノワ」を創業後まもなく、国立療養所長島愛生園内にオープンしたカフェの家具・内装工事の仕事を頂いたり、以前の仕事場からの付き合いから、仕事を頼まれるなど、有り難いことにそこそこ仕事をさせてもらっています。現在も私の作風を気に入ってくださった県外の日本画家の方からオーダーを頂いて額を製作中です。また最近、岡山駅構内に出来るカフェの内装・家具工事の話も頂くなど、徐々に幅が広がりつつあります。
・次の目標について
上田さん:現在は、敷地内にある元納屋だった建物を仮の工房として使っている関係で、作業に限界を感じることもありますので、できるだけ早く本格的な工房と、作品を常時展示できるギャラリーを作りたいと思っています。
家族のこと
・子ども達の通園・通学に不便を感じることはありませんか?
上田さん:長女は小学校3年生で地元の小学校にスクールバスで通学しております。朝は近くのバス停から7時半頃のバスに乗り、帰りもバスで16時頃には帰宅しますので、今のところ心配はないです。次女(5歳)・長男(2歳)は妻が幼稚園まで送りますが、時々はママ友が代わってくれるので助かります。
・子ども達が病気になった時など、困ったことはありませんか?
上田さん:自然の中で自由に遊ばせていますので、時々風邪をひいたり、もちろん軽い怪我などもしますが、ほとんど近くの診療所にも連れて行ったことはありません。いつの間にか自然に治っています(笑)
※親子合作の障子アート!?
・子ども達の将来について
上田さん:赤磐市内には公立高校が無いので、高校進学の時が心配です。現在のところ隣接する市町にある高校に通わせるしかなく、進学までに通学の手段を考えなければなりませんね。将来市内に分校でも出来れば嬉しいのですが・・・。
地域との交流について
・ご近所との、お付き合いはいかがですか?
上田さん:入居時、隣近所にご挨拶に行ったとき、皆さんに地域のことをいろいろと教えてもらい大変助かりました。皆さん優しく親切で、小さな子どものいる私達を温かく迎えてくださいました。特に「ここだったら、子どもたちがいくら騒いでも大丈夫!」とか「農作業をしていて、久しぶりに、小さな子どもの元気な声が聞けて嬉しい!」とか、おっしゃっていただいた時は、本当に嬉しかったです。最近、消防団にも入団させていただきました。
地域での生活について
・今の生活に満足してますか?
上田さん:子ども達が、自然のなかで、のびのびと遊びながら育ってほしいという思いから、この場所を選びましたので、ここでの生活にはとても満足しています。子ども達は山から木の実を拾ってきて「ままごと遊び」をするなど、都会では出来ない遊びを楽しんでいます。地域の方や移住者の方達とも交流ができつつあり、楽しく過ごしております。この美しく、豊かな山村の風景がいつまでも変わらないことを願っております。
※家の前に広がる里山風景
取材年月:2020年1月
更新日:2020年03月02日