移住者インタビュー Pinaud Vincent( ピノ・ヴァンサン)さんご夫妻

更新日:2023年05月02日

災害リスクが少なく、理想を叶える「ほどよい田舎」の土地を見つけました。

ピノ・ヴァンサンさん夫妻

Pinaud VincentさんとYukaさん

プロフィール

移住の時期:2021年5月

出身地:Pinaud Vincent さん:フランス  /奥様:埼玉県

現住所:赤磐市弥上(やがみ)

仕事: Pinaud Vincentさん:  パン職人(Boulangerie Pinaud店主)/奥様:  ウールクラフト店(Kakara Woolworks)店主

家族:夫婦・ 子ども2人の4人家族

移住の経緯

赤磐市に移住するまでの経緯についてお聞かせください。

東日本大震災をきっかけに、岡山への移住を考えはじめ、2014年4月に岡山県内に古民家を見つけるまでの約2年間で、200件以上の物件を見て回りました。ようやく見つけた古民家に約7年間住みましたが、更に自然が近い田舎の広い土地で、夫婦それぞれのお店ができる場所への移住を希望し、再び岡山県内での物件探しを始めました。コロナ禍の影響で出張も減り、移住先探しに時間をかけられたこともあり、岡山県内の各地の物件を見て回りました。しかし私たちの条件に合う物件はなかなか見つからず、諦めかけていたところで、2020年末に今住んでいる物件に出合いました。

今のお住まいに決めた理由をお聞かせください。

安全性はもちろん、自然環境・地形・土地の広さ・利便性などすべてにおいて理想に近く、ほとんど即決しました。建物は古くリフォームも考えましたが、夫婦それぞれの店舗が必要なこともあり、思い切って建て替えをすることにしました。解体に予想以上の費用がかかりましたが、理想通りの店舗付き住宅を建てることができ満足しています。

仕事について

ご主人の仕事についてお聞かせください。

フランスでパン職人の国家資格「ブーランジェ」を取得後来日し、パン屋さんで働くうちに、自分自身が納得のいく製法でパンを作りたいという思いが強くなり、岡山に移住後も材料や焼き方の研究を積み重ねました。そして赤磐市に移住後、念願の店「Boulangerie Pinaud」を開店することが出来ました。フランスでは日本と異なり「水と小麦粉」だけで作った酵母「ルヴァン」で発酵させパンを作ります。シンプルですが、私のこだわりは「小麦粉と焼き方」にあります。自分が求めるパンの材料に最適なオーガニックの小麦粉を見つけるのに約5年かかりました。北海道産の品種で、ほかの品種では私のパンを作れません。塩もフランスの天日塩「ゲランドの塩」のみを使っています。焼き方にもこだわりがありますが......秘密です。笑  昨年ユネスコの無形文化遺産にも登録された「バゲット」に代表されるフランスの伝統的パン作りに携わっていることを誇りに感じます。もっともっと多くの人に味わってもらいたいです。

次の目標は?

近い将来ですが、より性能の良いオーブンに入れ替えたいと思っています。現在は店頭での販売が主体ですが、近々インターネットなどで県外のお客様にもお届けできるようになる予定です。それでもやはり、焼き立てが一番おすすめなので、ぜひお店にお越しいただきたいです。また最近、6歳の子どもが「将来、パン屋さんをやりたい」と言ってくれました。将来親子でパンを焼く日が来ると嬉しいですね。

ピノ・ヴァンサンさん

誇りを持ってパンを焼く。

ブランジェリー ピノ

ようやく見つけた理想の地に建てた2人の店舗

奥様の仕事についてお聞かせください。

東京の美大で染織を学んだ後、羊や羊毛の仕事を探してニュージーランド南島に移住しました。その後、2007年5月に糸紡ぎの楽しさを、もっとたくさんの人に広めたい、知ってほしい、という想いから、「Kakara Woolworks」をスタートしました。「Kakar:カカㇻ」とはアイヌ語で「紡ぐ」という意味です。またマオリ語では「いい匂い」という意味もあります。直輸入の紡ぎ車・繊維・カーディング用品・羊毛素材・ファイバー・酸性染料などを、店頭・ネットショップで日本全国や海外に販売しています。

マオリ:ニュージーランドの先住民族

今後の展望について

糸を紡ぐことは、大変な労力ではありますが、それ以上に楽しく平和で心穏やかになります。紡ぐことを通してより多くの人と出会い、楽しい時間を過ごせれば嬉しいです。今までは東京での仕事も多かったのですが、最近は岡山県内のローカルな羊毛を活用した新しい取り組みもスタートしました。

紡ぐ青島さん

ドラムカーダーで繊維の方向を整えたり、混色や素材をミックスする。

紡ぐ

紡ぎ車で繊維を紡ぎ糸にする。

お二人の趣味についてお聞かせください。

ご主人/子どもと遊ぶこと。休日など、子どもたちの遊び相手に徹することが一番の楽しみです。

奥様/庭仕事、畑仕事、手仕事すべてが仕事とつながる趣味です。今、家の裏にある畑で白菜・大根・ほうれん草・玉ねぎ・人参・小麦・ブルーベリー・リンゴ・レモン・綿・小麦などを育てています。将来は羊も飼いたいです。パンはもちろん野菜などの食料や、衣類も糸から自分達で作ったものでまかない、半自給自足の生活をすることが理想です。

移住後の生活について

地域には馴染めましたか?

引っ越しをする半年前に、赤磐市役所に電話して、弥上地区の区長さんを紹介してもらいました。区長さんは親切な方で、挨拶に行くとその場で地区の世話役を次々と紹介し、ごみのことや地域の行事などについて、細かく説明してくださいました。地域のことは何もわからない私たちに対して、皆さん優しく温かく接してくれました。最近は近くにある「詩人永瀬清子の生家」で、永瀬清子の詩からイメージして糸を紡ぐワークショップを開催するなど、地域での活動の幅も広がってきています。

永瀬清子(1906-1995)赤磐市出身の詩人

(赤磐市HP)https://www.city.akaiwa.lg.jp/annai/kyouikuiinkai/kumayama/tenjisitu/kiyoko.html

子どもさんは学校に馴染んでおられますか?

上の子どもが地元の小学校に転校したとき、久しぶりの転校生で珍しがられましたが、最近は移住者が増えたのか転校生が増えているようです。学年の児童数20人ぐらいがちょうど良かったのか、すっかりなじみました。

移住後、困った事や心配な事などありますか?

想定内でしたが、季節には近くの藪などに虫や蛇を見かけます。最初は見るたびにギョッとしましたが、最近は慣れました。笑  ただし、マムシなど毒蛇には注意が必要ですね。

また、岡山県は人口10万人当たりの交通事故死者数が多いと聞いていおり、子どもたちの安全のためにも、お互い気を付けたいですね。

地域での生活に満足していますか?

仕事や子育て趣味など生活全般についてとても満足しています。自宅兼店舗ですので、通勤時間が無く、ステイホームでも仕事に差し障りないので、子どもとの時間も十分とれています。また、田舎ですがアクセスはよく、最寄り駅(JR山陽本線 万富駅)まで車で約5分です。コンビニも周囲に数件あります。本当にここは「ほどよい田舎」ですね。

弥上風景

自宅の周りはのどかな田園風景が広がる。

取材年月:2023年1月~

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