旅を経て赤磐へ!地域の人と紡いでいく、子育てと自給自足ライフ
日本一周の末たどり着いた赤磐市。移住後半年経ち、今思うこと


移住の経緯
「人生は一度きり」 鉄道マンが家族とハイエースで日本一周へ踏み出した理由
西村知也さんは15年間鉄道会社に勤め、和歌山県に家を建てて3年目。妻の可穂さんと二人の子どもに恵まれ、順調な生活を送っていました。そんな折、働く中で「自分の将来」に疑問を抱いたといいます。夫婦で相談し、弟のいる千葉への移住を計画しましたが、仕事の方向性や現地での違和感から断念。ただ退職準備や家の売却はすでに進んでいました。そこで思い出したのが、可穂さんの「いつか日本一周したい」という言葉。上の子が小学校入学前で5歳だったこともあり、「子どもと旅をするなら今しかない」と決意し、「人生は一度きり!」と家族でハイエースに乗り、日本一周の旅へ踏み出しました。
初めから赤磐市への移住を考えていなかった?!
実は西村さんご夫婦、最初から赤磐市への移住を考えていたわけではありません。
旅を終え、上のお子さんの小学校入学までに住む場所を決める必要がありました。そこで、旅の途中で仲良くなった友人の近くで物件を探しましたが、希望や予算に合う家はなかなか見つかりません。
そんな時に出会ったのが、赤磐市の住民や移住担当者でした。そして空き家バンクで出会ったのが、現在のお住まい――明治元年築の古民家です。
「予算ギリギリでしたが、直感で『ここだ』と感じました」と、西村さんは当時を振り返ります。
地域との交流
物件購入前に地域を散歩した理由
西村さんは物件を絞り込んだ後、その地域に何度か足を運びました。目的は、昼と夜の家の日当たりを確認すること、そして地域を歩いて地元の人と話し、自分たちを受け入れてもらえそうかどうかを感じ取るためでした。そこでたまたま出会った地域の人や、今では西村さんには欠かせない存在のお隣さんに温かく迎え入れられ、「ここで暮らそう」と決心できたそうです。
ひと昔前の日本のような暮らしに憧れて
移住の決め手となった「人とのつながり」は、今の暮らしの中でもご夫婦が一番大切にしていることです。
中でも大きな存在が、79歳のお隣さん。移住して間もない頃には、トラックですぐに地域を案内してくれました。
西村さんの他にこのあたりに移住者はいませんでしたが、お隣さんは「子どもたちが来てくれて活気づいた」と喜び、また西村さんのことも「面白い人が来て刺激になる」と、家族ごと温かく迎えてくれました。子どもたちからも慕われ、まるで家族のような存在です。
「以前の暮らしではお隣さんとの接点がなかったけれど、ここではみんな顔見知り。ひと昔前の日本のような暮らしに憧れがありました」と、妻の可穂さんは語ります。
困ったときにはすぐに相談し、「頼る」姿勢を意識しているご夫婦。その思いに応えるように、地域の方々も「助けてあげたい」と手を差し伸べ、自然と心地よい関係が築かれています。
農業を通じた自給自足と地域貢献
「完全な自給自足とまではいかなくても、できるだけ自分たちの力で暮らしていきたいんです」と語るご夫婦。
現在は田んぼを広げて米づくりに挑戦中で、それが地域に溶け込むきっかけにもなりました。「自分で作ったお米を食べたい」との思いから、来年には3反(3,000平方メートル)の田んぼを自ら管理する予定です。さらに近所から黒豆畑や他の畑を借り、農業の幅を広げています。高齢化で維持が難しくなった田んぼを引き継ぎたいという気持ちもあり、地域への貢献にもつなげたいと考えています。農機具を共同利用できる営農組合にも加入し、少しずつ理想の暮らしを形にしています。

遮るものが周りになく、心地よい風が吹く

明治元年に建築された古民家は、空き家改修費補助金を利用し、DIYでリノベ予定
子どもにとって理想的な子育て環境
現在の暮らしでは、小学校が近く規模も小さいため、全児童が顔見知りで学年を越えた交流があることを魅力に感じているそうです。幼稚園も園児はわずか8人。少人数ゆえに一人ひとりに手厚い教育が行き届くことも気に入っています。さらに、両親が自給自足を目指し地域と深く関わる姿を子どもたちが身近で見られること自体が「良い教育」につながると考えています。「みんな顔見知りで家族のように助け合える」そんな理想の子育てを楽しんでいます。
移住後の困ったこと
西村さんは困ったことが特にないそうですが、「もし困ったことがあれば素直に頼り、教えてもらう姿勢が大切かもしれませんね」と話します。その思いに応えるように、地域の人々も自然と手を差し伸べ、無理なく心地よい関係が築かれているようです。唯一の不満は、水辺が近くにないこと。和歌山の美しい海や川で育ったため、気軽に水遊びできないのが少し寂しいそうです。
「赤磐でよかった」そう思う理由とは
赤磐市への移住は「自然な流れだった」と話す西村さんご夫婦。今では「あかいわで良かった」と満足しているそうです。その理由は、何よりも「人のあたたかさ」。また、「心地よく、ちょうどよい田舎」だとも感じているそうです。
車で10分圏内にスーパーがあり生活に不便はなく、子育て環境も安心。田んぼや桃畑の風景、季節ごとの移ろいもお気に入りで、庭でコーヒーを飲みながら眺める朝の霧も、日々の楽しみのひとつだと語ってくれました。
今後について
自宅はこれから改修を予定しており、自分たちでできる部分はDIYで進めていく計画です。将来は、ゲストハウスやうさぎカフェのように、誰もが気軽に集える場をつくりたいという夢も描いています。さらに、狩猟免許の取得にも関心があり、害獣駆除を通じて地域貢献や自給自足の暮らしにもつなげていきたいと考えています。
また現在は、「Tom | 明治元年の古民家暮らし」というYouTubeチャンネルで、古民家ならではの田舎暮らしやリアルな日常を発信しています。
「人とのつながり」を大切にしながら、少しずつ自分たちらしい暮らしを築いていく西村さん一家。赤磐での新しい日々は、これからも温かく、そして力強く広がっていきそうです。

野菜作りやお米作りも盛ん。
取材年月:2025年8月
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総合政策部 政策推進課 地域創生班
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更新日:2025年09月17日