守りつづけたい伝説の祠。受け継がれる血洗滝神社への思い。
鳥のさえずりが響き渡る自然ゆたかな地区、是里(これさと)。赤磐市北部の山あいに位置するこの地区には、日本神話で活躍した男神スサノオノミコトがヤマタノオロチを退治した剣を洗い、身を清めたという伝説が残る”血洗滝(ちあらいのたき)神社”があります。
地域の過疎化や高齢化などに伴い、老朽化が進んでしまった祠(ほこら)は崩壊寸前。祠を守ろうと同じ想いを抱いた人たちが集まり、修復に力を入れているという情報を得たのでお話を伺ってきました。
今にも崩れ落ちそうな祠を、目の当たりにして……。
赤磐市周匝にある清水製材所をご夫婦で営んでおられる清水紀子さん。清水さんが、血洗滝(ちあらいのたき)神社クラウドファンティング実行委員会の発起人の一人となり、祠を修復したいと思ったきっかけはなんだったのでしょうか?
ーある日、血洗いの滝へお参りに行った方から「滝の周りがひどく荒れていたので、一緒に掃除に行こう」と誘われたのがきっかけです。主人から、血洗いの滝へは子どもの頃に行って以来訪れていないという話を聞いていたので、さっそく夫婦で下見に訪れてみることにしました。
祠がひどく荒れた光景を目の当たりにした主人が、男泣きするのを見て私も胸にこみ上げるものがありました……。
もともと血洗いの滝は、宗形神社という是里にある神社の管轄です。私たちは周匝在住のため、違う土地のことに深入りしてはいけない。と感じていたところもあり、どこまで関わってよいものかよくわかっていませんでした。
それでも自分たちでなんとかしたい、と思いついたのがクラウドファンディング。同じ想いを抱いている人たちと出会い、彼らと一緒にクラウドファンディングをすることになったのです。
~いいタイミングで一緒に活動することになったのですね。一緒に活動することになった人たちとは、どんな繋がりがあったのでしょうか?
赤磐市役所の職員さんに血洗いの滝について相談したところ、「古い伝承を具現する祠を守りたい。」という想いを抱いた人たちがいることを教えていただきました。倉敷市に住んでいる建築家の方とイベントクリエイターの方を紹介していただいたのですが、地区や市という垣根を超えて、同じ想いでつながることで自分たちが動いていくんだという気持ちになりました。
それから2021年の春頃、宮司さんや区長さん、宮総代さんなども加わっていただき、血洗滝神社クラウドファンティング実行委員会を立ち上げることになったのです。
子どもから大人まで、幅広い世代へ伝えたいこと
~血洗いの滝をなんとかしたいという思いで繋がったクラウドファンディングだったのですね。反響はいかがでしたか?
思いのほか反響がよかったのでびっくりしました。赤磐市以外の方にも認知してもらえるようになり、日本全国、またアメリカのロサンゼルスに住む方からも支援をいただきました。
当初から血洗いの滝について周知してもらうために、facebookでの呼びかけに力を入れていました。
そして2021年9月1日、300人を超える方に支援していただき、クラウドファンディングは目標を達成することができました。
クラウドファウンディング達成後も、血洗いの滝のクリーンアップとウォーキングを組み合わせたイベントなど、血洗いの滝に関連したイベントを開催してきました。そうすることで引き続き興味を持っていただけたかな?と思います。
このイベントには子どもから大人まで参加いただき、血洗滝神社の周辺をウォーキングしながらゴミ拾いをしました。
血洗いの滝について関心を深めてもらい、次世代に新しい繋がりが生まれるきっかけになりました。
次の世代へつなぐ、血洗いの滝の存在
〜幅広い世代に興味を持ってもらう良い機会になりましたね。
祠を修復した際には、またイベントを開催する予定はあるのでしょうか?
祠の修復は木の伐採や屋根の下地直し、河原の修復も必要で、大工さんとの仕事の兼ね合いなどもあり時間がかかってしまいましたが……。2023年10月末に土台が完成し、11月に板金の工程へ突入。祠の設置は2024年春頃に披露イベントを開催する予定ですので、ぜひ皆さんいらしてくださいね。
〜完成披露イベントに行ってみたいです!実行委員会のメンバーでその後のことについても話し合いを重ねているそうですね。完成披露の様子を赤磐市民ライターのインスタグラムでも、ぜひご紹介させてください。
血洗滝神社を通じて、今後の目標はありますか?
80年くらい前に祠ができて、一度手は入れられていますが、時が経てばまた荒れ果ててしまいます。
そうなる前に、この地域の人たちにうまくバトンをつないでいきたい気持ちもあるので、地域の人と一緒に新しくできた祠や場を後世につないでいく活動は出来る範囲で続けていければと思っています。
まとめ
歴史や実績を積み重ねて守りつづけている血洗滝神社。
伝説の祠を守り続けるために、先を見据えながらいまできることをしたい。そんな原動力を元にたくさんの人たちに、さまざまなアクションを起こしつづけている清水さんから強い意思を感じられました。
時代の変遷の中で変化していくものや、失われてしまうものもありますが、血洗いの滝のように、多くの人たちの強い想いによって伝承が守られているものがあります。
生まれも育ちも赤磐市の私ですが、まだまだ知らない赤磐市を発見できてうれしいです。強い想いを抱きながら活動している人たちが住むこのまちの魅力を、これからも発信していきたいと思いました。
【ライター紹介】
enco
出産を機に故郷である赤磐市に移住。
パートで働きながら、好きなときに好きな場所でクラウドソーシングをしています。
何気ない日常にちょっとだけ”彩り”を添えられるような、新しい働き方を実践中!
- この記事に関するお問い合わせ先
-
総合政策部 政策推進課 地域創生班
〒709-0898 岡山県赤磐市下市344
電話:086-955-1220 ファックス:086-955-1261開庁時間:月曜日から金曜日 午前8時30分から午後5時15分 祝日・年末年始は閉庁
更新日:2024年02月29日