東京の動物園で飼育員として働いていた細田ご夫婦。
孝久さんの退職を機に、気候が良いところに移住をと考えていました。
お二人が選んだのは築100年を越える古民家。
赤磐市を訪れたことはありませんでしたが、窓越しに見える景色や自然が気に入り移住を決めたそうです。
ゆっくりと時間をかけて準備を進めた、移住までの道のり
移住するにあたり、まず必要だったのは家の修繕。壁は所々崩れ落ち、庭には草木が覆い茂っていたのです。美香さんは動物園に在職中だったので、孝久さんが修繕のために年に数回東京から通うことになりました。最初は頼れる人もいなくて、床板をホームセンターで購入して一人で運んだそうです。電気工事士の免許を取得し、切れて危なかった電気配線を直し、庭は重機で掘り起こしました。
また、家庭菜園のために、家と同時に畑の購入を検討していました。ところが農地法の理由から、求めている広さの畑を所有するのが難しいことが分かり、地域の方に相談すると、ご厚意で畑を貸していただけることになりました。
現在はそこで農作物を作っています。カフェではそんな畑で採れた自然の恵みを使ったメニューが期間限定で登場することもあるそうです。経験のないことばかりで苦労もしましたが、居住スペースを改修し、購入から約3年半後「カフェいきもの舎」をオープンしました。
地域の方との交流や心掛けた事とはどんなことだったのでしょうか?
一人で家の改修をする孝久さんに、親切に声をかけてくださったのは区長さん。気晴らしになればと、早朝アルバイトを紹介してくれたこともありました。そこの活動が人とのご縁をいただけたり、地域とつながるきっかけにもなったりしたそうです。
また、初めは地区のルールが分かりづらく、少しずつ覚えなければいけませんでした。それでも、草むしりやごみ当番のような地域の行事はできるだけ参加するよう心がけたそうです。
「そうすることで地域に自然と溶け込み、応援してもらえるようになりました。大変ありがたいことに玄関にお野菜を置いてくださる事もあるんです。時には甘えることも大切だと気付かされました。」と孝久さんは笑顔でお話してくれました。
山が近くて田舎すぎない、赤磐のちょうどいい暮らし
「土地勘なく購入したけれどバスも通っているし駅も近い。歳を重ねても住みやすいこの場所が気に入ってます」と話す孝久さん。
ご自宅の裏がすぐに山ということもあって、庭にはきつねやたぬきなどの野生生物や、野鳥や蛍といったちょっと珍しいお客さんが訪れます。その様子をお客さんと観察したり、インスタグラムに投稿して喜びを分かち合って楽しんでいます。山には美香さんの大好きなキノコが自生していて、「自然に囲まれた環境を満喫しています」と思わずにっこり。「のんびりやれたらいいな」という気持ちで始めたカフェですが、ご主人の焙煎した珈琲は味わい深い本格派。2021年9月30日に2周年を迎え、最近ではお客さんも段々増えてきて、忙しくなってきたそうです。
最後に・・・
自然の中でのんびり暮らしたいという理想を、赤磐市に移住してきたことで、自分たちの手でひとつずつ実現しているご夫婦。歩いて行ける距離に出来たカフェは、地元の人にとってささやかな贅沢な時を過ごす場所になりつつあります。
自分たちが楽しむことを大切にし、赤磐の魅力をいきもの舎という拠点から発信するお二人。これからは市や県を越えた、温かいつながりを結んでいくに違いないでしょう。
今後の更なるご活躍を楽しみにしています。
【ライター紹介】
moritica
岡山市生まれ。転勤の多い生活を経て、約2年前から赤磐市に定住。
2020年にクラウドソーシング初級講座を受講。
私はどういう働き方をしたいかな?と考えるきっかけになりました。
現在はイラストレーターを目指しながら、デザインやライティングの勉強中。
更新日:2022年02月03日