熊山英国庭園の香りに魅了された女性とは
皆さんは赤磐市の「熊山英国庭園」をご存じでしょうか。
5~6月の見頃には、胸がときめくようなピンクのオールドローズが庭園のガゼボに咲き誇り、それはまるでパッと胸が躍るような絵画のようで、多くの市民や観光客を魅了しています。
約250種類ものバラやハーブ、太陽の恵みをいっぱい受けた緑の植物や花々、鳥のさえずりや心地よい風に癒されたいとき、ついつい訪れてしまう癒やしの場所でもあるのです。
今回は、この庭園でアロマやハーブ、アートなど幅広く教室を開催している大谷見矢子さんをご紹介します。
阪神淡路大震災の被災者が植物の香りで癒やされることを知った


兵庫県生まれ、岡山県勝央町で育った大谷さん。学生時代によく乗ったバスの窓から赤磐市内の景色を眺め、「岡山の中心部にも近くて、田舎過ぎず生活しやすそう。いつかここに住むのかも」と当時から何となく縁を感じていたそう。
そんな経緯もあり、約27年前に赤磐市の山陽団地に移住。地盤が強い場所であること、教育が充実しているようだと住んでみて感じた安心感もあり、桜が丘に新居を構えました。
転機となったのは、1995年に発生した阪神・淡路大震災。当時の報道で震災の悲惨な状況に心を痛めた大谷さんは、避難所で心身ともに傷ついた被災者の方をアロマの香りで癒やす取り組みがあることを知りました。
自分でもできることがないかと必死で考え、この震災がアロマテラピーや心のケアの勉強を本格的に始めるきっかけとなりました。
「当時はまだ日常生活にアロマを取り入れる程度でしたが、育児で悩んでいたときや理不尽に子どもを怒ってしまったときは、私自身が香りに癒やされて気持ちを落ち着かせていましたね。」子育て中の悩みは香りが味方になってくれる、と取材している私にも新たな発見がありました。
お子さんが幼稚園から帰ってくると、大谷さんのご自宅にお友達同士がよく集まって自由にお絵描きやクラフトを楽しんでいたとのこと。この頃には「将来的に資格を持って、人と人がリラックスして交流できる居場所づくりをしたい。」との思いがより一層強くなったそうです。
香りやアートで人とのつながりや心地よい場所をつくりたい


現在は、当時のお子さん達が集まって楽しんでいたお絵描きの輪を、アートサークルとして形を変えて今も継続、東日本大震災の被災者支援プログラム、香りやアートを使ったメンタルケアの活動も約10年続いています。また、学校や地域の様々な場所で幅広く活動されています。
そんな大谷さんの愛してやまない場所は、季節や天気によって香りが変わる「熊山英国庭園」。「実は、花が咲いているときよりも、咲いていないときのほうが香りを楽しめるんですよ。」と教えてくれました。
大谷さんによると、「バラのつぼみの季節」「バラが終わったとき」「冬に入る頃の時期」は植物のエネルギーがとても高く、自然の香りを存分に味わうことができて、呼吸が気持ちいいのだそう。
近くの山から吹き降りてきた風が、庭園の中心のガゼボでふわっとめぐり、自然の香りが五感を刺激してくれる、そんな設計にもなっているのだとか。
……そうだったんですね。お話を伺っていると、なんだかこの足ですぐに現地に行ってみたくなりました!
最後に・・・
熊山英国庭園は元々廃校になった小学校の校庭跡地で、英国式庭園という格式高いイメージというより、日常にある懐かしくもほっとする場所。
かわいらしい植物や小鳥、二ホンミツバチも遊びに来ます。丁寧に手入れされた植物たちが風にゆれて、やさしく出迎えてくれますよ。
ぜひ、自然の香りを楽しんでみては?
ライター紹介
ワタナベ
中学、高校時代は倉敷に住み、長男が1才の時に千葉で東日本大震災の震度5を経験。迷った末に「災害が少なく地盤が強そう、ベッドタウンで子育てしやすいかも」と直感した赤磐市桜が丘へ移住。夫、中学生の長男、小学生の次男がいます。
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更新日:2022年04月25日