3億年前の痕(こん)跡も!市民も知らなかったびっくりがいっぱい⁉

更新日:2022年04月19日

地球史研究所1

赤磐市には「地球史研究所」という施設があります。というのも赤磐市には3億年前をはじめとする地層があり、研究者の間では“ジオ(大地)の教科書”と呼ばれているそうです。

 赤磐市一帯は吉備高原の南端に位置していますが、最近の研究で、この吉備高原の地盤がとても安定していることがわかっています。安定した地盤ということから、首都を岡山に移転するという驚きの小説(注1)も出版されたほどです。地質のことは、昨今の防災意識の高さからも気になるところ。私たちの足元を支えてくれているわが町の地質について、専門家に聞いてみたら、地元に住んでいる市民もびっくりの連続でした。

(注1)『首都崩壊』高嶋哲夫 幻冬舎 2014

地球史研究所の先生に直撃インタビュー!

地球史研究所2

               地球史研究所施設地図

地球史研究所3

乙藤洋一郎所長

地球史研究所は、この付近の地質を使って地球全体の研究をしようという施設です。」

と説明してくださったのは乙藤洋一郎所長。地球科学の中でも古地磁気(こちじき)学(注2)が専門の研究者です。

「3億年前というのは恐竜が出現するより前。地球上の生物が大量絶滅した有名なP-T境界(注3)より少し前です。そんな昔の痕跡をたどることができるんです。」

吉井地域にある「血洗(ちあらい)の滝」周辺には3億年前の地層が含まれていることがわかっているそうです。そんな古い地層があるのは日本列島の中ではこの地層と東北の一部だけ。日本全土の1%にも満たないそうです。

(注2)岩石などに記録されている地磁気を分析し大陸移動の様子などを調べる学問。

(注3)地質年代区分の用語。古生代と中生代の境目で史上最大の生物絶滅が起きたとされる。

“ジオの教科書”とされる地質を見に行ってきました!

地球史研究所4 地質

貴重な太古の川の痕跡が見られる吉井B&G海洋センター隣の草生多目的グラウンド横

ほかにも“ジオの教科書”たるゆえんの地質を教えてもらいました。

3400万年前の川の痕跡を見ることができるのは、吉井B&G海洋センター隣の多目的グラウンド横の崖(がけ)。近づいてみると、色も形もただものではない感じの石が数多く見られました。この地層の発見は、吉備高原の安定の証明に関わる歴史的大発見だったそうです。

赤坂、山陽地域などに広く分布するのは8000万年前の花崗(かこう)岩。観光地として私たちが目にすることができる岩神(いわがみ)神社のゆるぎ岩は、この花崗岩が風化する過程でできたもの。また、熊山遺跡は、8000万年前のマグマが地上で冷えて固まった岩石である流紋(りゅうもん)岩が使われているそうです。

これらの情報は赤磐市の公式Youtubeチャンネルや、地質をめぐることのできるマップでもくわしく説明されています。詳しくはこちらをクリックしてみください。→赤磐市公式Youtube

また、赤磐市地質資源PRマップも作成しています。ぜひご確認ください。

うをうを

もっと赤磐市の大地について知りたいと思ったら……

地球史研究所5

「日本の中でもめずらしい地質が複数そろっている赤磐市。防災の観点からも地質のことをもっと知りたいと思ったら、気軽に訪ねてきてください。」と乙藤所長。

地球史研究所では、地域の地質をめぐるツアーや所内で地質について語るサロン、小学校への出前授業など普及活動にも取り組まれています。地域で開催されるセミナーに呼ばれることもあり、関心の高さにびっくりすることもあるそうです。

「関心を持ったらまずは身近な専門家に聞いてみること。足元の地質は見えなくて、わかりにくいですから。」乙藤所長は、平日研究所におられるほか、電話やメールでも対応してくれるそうです。(不在の時もあるため、まずは電話086-956-3538へ問い合わせてみてください。)

最後に・・・

赤磐市について地質からみてきました。いかがでしたか。地質の専門家に聞くと、赤磐市の地質は想像をはるかに超える昔に誕生した、かつ多様な時代の地質でつくられた貴重なものでした。

生物大量絶滅やその後の恐竜の繁栄と絶滅も見届けて、めぐりめぐってわが町を形成してくれている赤磐市の大地。そんな誇るべき大地に私たちは住んでいます。

ライター紹介

natsukaze

赤磐市在住20年以上。2021年赤磐市主催クラウドソーシング初級講座受講。

地域の歴史や頑張っている人たちを通して地元の魅力を発信できたらと、市民ライターの一員に。目指すはNHKのテレビ番組「ブラタモリ」のような情報発信です!

この記事に関するお問い合わせ先

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