落語で子ども達を笑顔に! 落語活動を続ける小学校教諭

更新日:2023年07月06日

落語

落語を通して子ども達を笑顔にしたいと願い、落語活動を続ける小学校の先生がいます。赤磐市の小学校教諭になられて27年。落語を授業に取り入れたり、「お笑いクラブ」というクラブ活動を立ち上げたりしてこられました。さらに、公民館や図書館など、地域にも活動範囲を広げています。根底には「落語で赤磐市に恩返しを!」という想いが。

先生の落語活動の一環、図書館での落語会「おやこ de らくご」を取材してきました。

いろいろな縁でつながれた落語会

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落語活動を続ける小学校教諭 藤原誠先生、芸名「ふじの舎扇蝶(ふじのやせんちょう)」。

大阪市に生まれ育った藤原先生。浪人生活の中で「落語」に巡り合います。2代目桂枝雀の人となりに強く惹かれ、枝雀さんの落語のマネをしながら浪人時代を過ごしたとのこと。

縁あって岡山の大学へ、そこで落研(落語研究会)の存在を知りすぐに入部、どんどん落語の世界に引き込まれたそうです。

 

こうして藤原先生と落語の縁が生まれ、現在の活動へとつながっています。そして今回の図書館での落語会は、落語仲間との縁が加わり実現したとのこと。

落語仲間のひとりは、落研の後輩であり、赤磐にご縁のある元小学校教諭小笠原賢一さん、芸名「椿家京豚(つばきやきょうと)」。前座を務められます。もうひとりは落研同期で、開催場所となる中央図書館の館長。裏方として支えます。

さて、どんな落語会となるのでしょう。

通常の落語寄席とはちょっと違う図書館らしい落語会

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「椿家京豚」が選んだ演目は「火焔太鼓(かえんだいこ)」。

京豚さんが強く惹かれたという3代目古今亭志ん朝(ここんていしんちょう)の得意とする古典落語。商売ベタな古道具屋の主人が古びた太鼓を大名に売りに行くというこっけい噺(ばなし)(注1)です。

通常、演者は高座(こうざ)に座り、右を向いたり左を向いたりして、登場人物同士の会話を一人で演じるわけですが、京豚さんは、読み聞かせを意識して観客の視線を、スクリーンに映し出された絵本に向け、声だけで落語を演じます。

目から入ってくる「絵本の世界」と、耳から入ってくる「落語」がうまく融合しています。

 

次に「ふじの舎扇蝶」が高座に上がります。まずは紙芝居を使いながらの落語です。演目は「平林(たいらばやし)」。忘れっぽく、字の読めない小僧が、「平林(ひらばやし)邸」に手紙を届けるよう頼まれるのですが、途中で宛名の読み方を忘れてしまいます。いろいろな人に宛名を読んでもらうと、「タイラバヤシ」だの「ヒラリン」だの「イチハチジュウノモークモク」だの、名前がどんどんありえない方向に変化していきます。

紙芝居を使いながらの落語のため、目からの情報が助けになる題目を選ばれたとのこと。「平林」という漢字を目で読めることで、一見ありえない読みも、なぜそう読まれたのかがわかりやすくなり、聴きごたえもたっぷりです。

扇蝶さんが次から次へと軽快なリズムで語り、場内が盛り上がるにつれ、子ども達のキャッキャッという笑い声が響きました。

 

紙芝居を使っての落語の後は、本来の落語でしめます。演目は「んまわし」。「ん」のつく言葉を一つ言うごとに、たこ焼きを一つ食べられるというので、「ん」のつく言葉を次々とひねり出していくお噺です。

大人も子どもも肩を寄せ合い大爆笑!

 

また今回の図書館での落語会は、親子での参加に重きを置いたとのこと。

「親子で同じものを聴く、親子で共有の時間を持つことで、共感が生まれる、家に帰って、あの場面がおもろかったなあ、あんなこと言っとったなあ、などと話をすることで親子の関わりを深めてもらえたら嬉しい」と藤原先生は言います。

 

(注1)落語の噺の種類は大きく分けると「こっけい噺」と「人情噺」のふたつ。「こっけい噺」は、こっけいさ・ばかばかしさに主眼の置かれた、おもしろおかしい噺。

落語を通して子ども達に伝えたいこと

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藤原先生は「落語の魅力」を次のように言われます。

「昔の人は、大事なことは落語ですべて学べると言っていました。友達、夫婦、親子、ご近所さんなど、人との関わり方、挨拶の仕方、人への気遣いなど、人生のすべてが学べるんです。

落語に悪人は出てこない!基本みんないい人!

人は誰しも長所もあれば短所もありますよね。その短所を肯定するのが落語なんです」と。

 

さらに、「想像することの楽しさもまた落語の魅力」と先生は言います。

「落語を聴きながら、風景、場面、登場人物などを頭の中で描いていく、それは人それぞれ。そして想像力を養うことは、人の気持ちを理解する上で役に立つ」

「落語という笑いの世界を通して、子ども達に生きる力をつけ、笑顔になってもらう」これが藤原先生の赤磐市への恩返しです。

まとめ

「大好きな赤磐市に落語で恩返しをしたいんです!」と少年のような笑顔で応えてくださった「ふじの舎扇蝶」こと藤原先生。

教師として、赤磐市に住む子ども達に、ご自身の青春を彩ってきた落語から得た「大切なこと」を伝えてきました。

いつまでも落研仲間と一緒にこの町で、子ども達を笑顔にする一席をお願いします。

 

※「おやこ de らくご」は不定期公演です。

「次回の予定はまだ決まっていませんが、みなさまの待望の声が聞こえてきましたら開催参上!乞うご期待!」とのこと。

開催が決まりましたら、移住定住ポータルサイト公認インスタ「@akaiwa_creativepartner_momo」 [#赤磐市のいいとこ」でもいち早くご案内いたします!

【ライター紹介】

noetomo

岡山市生まれ。社会人となってから岡山県外へ。30年後、故郷岡山に戻ったあと、縁あって赤磐市在勤となります。

赤磐市主催のクラウドソーシング初級講座を受講し、感謝の気持ちを大切に、ライター活動をスタートさせました。

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